• 概要             
  • 能登半島地震で生じた土砂災害の被害状況調査として、国土数値情報「土砂災害警戒区域」等のデータを使用し、点検・調査を実施
  • 使用データ
  • 土砂災害警戒区域(2022年度版)
  • 土砂災害危険箇所(2010年度版)
  • 避難所(2010年度版)
  • 効果      
  • 評価       
  • 現地調査に有用なデータが平時から整理して公開されているため、突発的な災害対応時に素早く活用できます



国土交通省 緊急災害対策派遣隊「TEC-FORCE(テックフォース)」は、大規模な自然災害時に、被害状況の迅速な把握、被害の発生及び拡大の防止、被災地の早期復旧などに取り組み、地方公共団体を支援しています。
今回は、東北地方整備局の活動で、令和6年能登半島地震で生じた土砂災害の被害状況調査等に国土数値情報を使用した事例について紹介します。


概要

国土交通省 緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)の業務として、令和6年(2024年)1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」で生じた、土砂災害(特別)警戒区域の点検・調査を実施しました。

東北地方整備局(砂防調査班)は、石川県珠洲市の土砂災害(特別)警戒区域の点検・調査担当となりましたが、調査班員全員が初めて活動する土地であり、土地勘の無い状態で調査活動を行う必要がありました。
緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)は、被災地である受援自治体(石川県)や担当整備局(北陸地方整備局)の負担軽減を図るため、活動箇所周辺の情報を自己完結的に集める必要があります。 「国土数値情報」は担当機関への申し込みや問い合わせを要さず利用可能であることから、活動箇所周辺の情報収集のため、活用を検討しました。

今回の活動において、調査隊員は要請を受け次第、速やかに被災地への移動を行いましたが、到着後に荒天で2日間外業不可となりました。
天候の回復を待つ間、国土数値情報から各種データのダウンロードを行い、調査箇所周辺の地形・地質状況や、活動箇所となる土砂災害(特別)警戒区域の指定状況等の確認を行いました。
事前に調査箇所周辺の情報を得たことで、調査における注目点設定や動線検討などの精度が向上し、現地調査を効率的に行うことができました。


国土数値情報「土砂災害警戒区域」データ活用状況
点検対象である土砂災害警戒区域の範囲確認に活用しました。


国土数値情報「避難施設」データ活用状況
調査箇所近傍に位置する避難施設の周辺斜面で、二次災害発生の危険性が無いか確認する際に活用しました。



使用したデータと加工方法

今回の調査では下記のデータをダウンロードしGISに入れて使用しました。
  • 1)土砂災害(特別)警戒区域 2022年度 版および土砂災害危険区域 2010年度 版
  •  調査箇所は点座標のみ示されるので、警戒区域の対象範囲確認に活用。
  •  危険区域については、警戒区域以外の危険箇所確認のため閲覧。
  • 2)避難施設 2012年度 版
  •  調査箇所近傍に避難所がある場合、二次被災の可能性確認に使用。
  • 3)表層地質(不明)
  •  調査箇所周辺の地質・断層の確認に使用。崩壊斜面の地質との整合を確認(泥岩、緑色凝灰岩など)。

(令和6年能登半島地震以外の災害で活用したことがあるデータ)
・森林地域:国有林・民有林の区分や保安林指定状況の確認
・自然公園地域:自然公園地域、特別地域などの確認
いずれも、協議先の確認などに活用。


効果または評価

国土数値情報ダウンロードサイトは、現地調査に有用なデータが整理して保存されているため、今回の地震災害のような突発的な災害対応時に素早く活用できました。
また、地質の推定や、調査位置(斜面や渓流)の特定に大変有効であり、作業効率化に繋がりました。
課題としては、災害対応に有効なデータが、国土数値情報ダウンロードサイトだけでなく、様々なサイトに掲載されているため、効率よくデータ収集を行えないと感じています。 今後、例えば「災害時活用データパック」のようなパッケージ化されたデータを一括でダウンロードできるような仕組みを整備してほしいと思います。



国土調査「表層地質」データ活用状況
調査箇所付近の地質状況(砂岩・泥岩が広く分布)確認に活用しました。また、調査箇所付近に複数の断層帯の存在を確認しました。


参照サイト




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