• 概要
  • 株式会社ヤマップ(以下「ヤマップ」)は、全国の「流域地図」を独自で作成し、「YAMAP流域地図」として公開しています。 流域地図に加え、国土数値情報の洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域等のハザード情報の重ね合わせができ、水の流れと災害リスクの関連性を流域単位で見られるようにしています。
  • 使用データ
  • 洪水浸水想定区域(一次メッシュ単位)(2022年度版)
  • 土砂災害警戒区域(2023年度版)
  • 急傾斜地崩壊危険区域(2022年度版)
  • 河川(2008年度-2011年度版)
  • 効果
    評価
  • 流域地図に洪水浸水想定区域と土砂災害警戒区域を重ね合わせできることにより、ユーザーが、水の流れと災害リスクを、行政区分という枠を超えて流域単位で俯瞰して捉えられるようになりました。 「YAMAP流域地図」が水災害や治水対策において役立つツールとなる上で有用な機能開発が実現できました。

ヤマップは、電波が届かない山の中でもスマートフォンのGPSで現在地と登山ルートがわかり、登山を楽しく安全にするアプリ「YAMAP」を提供しています。 さらに2024年5月、流域単位で地球環境を捉え直す流域思考を元に、多くの人が直感的に使える地図ツールとして「YAMAP流域地図」をリリースしました。


YAMAP流域地図の開発経緯(ヤマップ 春山代表より)

引用:2024年6月 YAMAPMAGAZINE
流域地図を開発したい、開発しなければと思った動機が2つあります。
1.現代の都市化社会では、山・川・街・海のつながりが見えにくくなってしまっている。いかにして、山・川・街・海を含めた大地の広がりを視覚的に表現できるか。また、水・土・空気といった恵みを育む山の価値を、都市に住む人たちへどのようにしてわかりやすく伝えることができるか。
2.毎年各地で起きる豪雨災害に対して、どうすれば効果的な治水対策を進めることができるだろうか。山・川・街・海を個別にとらえた断片的な治水対策ではなく、山・川・街・海を一体でとらえた総合的な治水対策はできないだろうか。また、総合的な治水対策を進める上で、素地となる共通理解をつくるにはどうしたらよいのだろうか。
2021年夏、岸由二先生が提唱する”流域思考”に出会い、「これだ!」と直観しました。知人を介して岸先生へご連絡を差し上げ、岸先生やNPO鶴見川流域ネットワークのみなさまからのアドバイスをいただきながら、流域思考をベースにした流域地図を開発しました。

荒川水系隅田川の流域地図
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隅田川の流域をクリックすることで、流域内の河川が明るく表示できます。

荒川水系隅田川のハザードマップ
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洪水浸水想定、家屋倒壊等氾濫想定区域、急傾斜地・土石流・地滑り情報が表示できます。


使用したデータと加工方法

国土数値情報の洪水浸水想定区域(一次メッシュ単位)や土砂災害警戒区域等のGeoJSON形式ファイル、および河川データのXML形式ファイルを加工したものを、タイル化して配信しています。タイルデータを自社で作成することで、デザインを見やすいものに変更しています。

国土数値情報を使用した感想・今後の期待

YAMAP流域地図における地図表示の仕組み上、今回使用したデータは、いずれも提供元の形式からMapbox VectorTile(MVT)形式に変換して配信しています。元データはフォーマットが明確で扱いやすく、MVTへの変換処理も問題なく行えました。 今後もYAMAP流域地図を始めとしたサービスで国土数値情報を利用したいと思いますので、水域や地形、災害リスクに関する各種データのアップデートを期待しています。

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